ルネサンスの頃、アフレスコ・セッコから絵具が形を明確にし、それぞれの特徴により分かれていきましたが、そんななか油彩の確立に向けて、テンペラ絵具と油彩が重層的に併用された時期があり、其の描き方を混合技法と言います。まず全ての波長をはね返す白色を他の色とは違うものと認識することから始めます。初めはテンペラの白色で形象の為、色の為、そして光の為と使い分けることから覚え、基本を学びます。白色の幅さえ分かれば、そのまま油彩の白色に置き換え、組み立ても見えてきます。
形象や色はもともと皆さんが持っているものです。重層的に成立する構造を理解し乍ら自らの世界を求めていきます。水曜日は油彩経験者、土曜日は基本からと分かれていますが、ご自身の判断で決めても構いません。全て個人のレベル、ペースで進みます。敢えて違いを言うなら、話の内容が少し難しくなることくらいです。「解った」の積み重ねです。
担当 川口起美雄
このクラスでは主に油絵具とキャンバスの使用を基本とした伝統的な絵画技法を学びます。初級、中級者クラスではまず模写等を通し、油彩技法の基礎ともいえるカマイユと呼ばれるモノトーンの色調から出発する制作手順を学び、その実践をこなしていきます。上級クラスではそれに加えてキャンバスの下地作りや絵具作りなど行いながら技法の組成的な理解を深め、実制作のなかでその応用を目指し、作品発表を視野に入れた各々の制作に歩調を合わせていく内容となります。この工房では特に、形象、色彩、光、をつかさどる油絵具の「白」の使い方を体感として理解、会得することが重要となります。授業は基本的に半年で一作品完成させる内容で進行していきますが、あくまでも様子を見ながら個人のペースに合わせていきます。伝統的な技術を学び、継承し、自身の制作にその技術が応用され、自らの表現と油彩表現の可能性を探ることができる足掛かりになればと思います。
担当 友清大介
これから絵を始めたい方から中級者、団体展に挑戦している、してみたい方など、いろいろな受講者に、対応するクラスです。油彩、アクリル系、パステル、卵テンペラ、油彩混合、ガラス絵、3Dトリックアートなど、絵の表現は多様です。私はパリやフィレンツェで、イタリアルネサンスからバロックの絵画技法を美術学校や職人の工房などで研究し、帰国後は長年作家として色々な制作経験と発表を積んできました。それぞれの受講者に合った画材選び、制作のノウハウから作品作りまで、適切な指導とアドバイスをさせていただきます。絵の楽しさは、一人でも仲間でも絵を〔描く〕、展覧会などで絵を〔見る〕、個展、グループ展などの発表で絵を〔見せる〕、この三つの広がりから生まれると思っています。デッサン力に不安を感じる必要はありません。制作と同時に基礎も学んでいけます。ぜひこの機会に絵を始めてください。
担当 鍋島正一
私が混合技法による作品作りを始めた頃、その支持体作りから描画への一連の行程をひとつひとつ確かめるように段階を進め、下地層から図像形態の糸口を見つけ出し、イメージと組み合わせて描いた作品を今でも覚えています。即興性が作者に潜在する形を呼び覚ますことが表現に繋がること、そこに私は魅了されました。画材がその物質性から作者の意思と共に有機的に発言していく表現を習得しようと試行錯誤の繰り返しだったと思います。それからは絵作りの意味を考え、美術の歴史を考えていくことが私の学習の柱となりました。魅力の一つ、この技法で描かれた作品はテクスチャーが美しいんです。それは何故か。
作家は何を描くのか、その源泉(オリジン)を探求しなくてはなりません。
このクラスでは古典と現代を往来します。皆さんの表現世界は、個人の感性と、そこに寄り添う技巧の共生によって成就します。唯一無二である自分の表現に何が必要であるか、それにはどのようなアプローチが必要であるか。克服していくためのアドバイスをさせていただきます。初級、中級、上級クラスを設けました。油彩の他、imageを育むための鉛筆画、コラージュなども学ぶことができます。様々な視点の取り組みを用意しました。
担当 鈴木伸
おしらせ
鈴木 伸 講師による油彩・テンペラによる混合技法の体験講座と鉛筆画の体験講座を下記の日程で開催いたします。
はじめての方大歓迎です。ぜひご参加ください。
お申し込みはお問い合せの方からよろしくお願いいたします。
①テンペラと油彩混合技法 『花を描く』
モチーフの植物を主題に混合技法で描いていきます、下地から描画への進め方、作画意識の持ち方についてレクチャーします。
日時:第一回 8月7日(木)、第二回 8月21日(木)、第三回 9月4日(木) 各回 10:30〜13:30
持参するもの:油絵具、筆、溶き油、筆洗油 (※モチーフ、描画用の板、テンペラ絵具等は講師が用意)
講座費用:8,000円
②鉛筆画 『果物を描く』
モチーフの果物を主題に鉛筆とデカルコマニー技法を組み合わせて描いていきます。鉛筆画表現の新たな可能性を体験します。
日時:第一回 8月7日(木)、第二回 8月21日(木)、第三回 9月4日(木) 各回 14:00〜17:00
持参するもの:鉛筆(4H〜5B)、消しゴム、擦筆、カッターナイフ、マスキングテープ(※モチーフ、描画用の板は講師が用意)
講座費用:8,000円
対象を前にして美しいと感じたり、心にあるイメージを自由に表現したいと絵筆を取る行為は、現代においても変わらない喜びをもたらしてくれると思います。とりわけ古典絵画をマスターしていくと豊かな色彩表現や、様々な質感の描き分けなどがより一層可能になり、描いてみたいイメージに近づいていく楽しさを感じることができるでしょう。
一方、表したいイメージに近づくために、支持体をはじめ、絵具や溶き油の特性を理解しながら描き進めると、次から次へと課題が見つかっていきます。それらひとつひとつと向き合いながら、一枚の作品を仕上げていく過程は、さらなる表現へと導いてくれます。このクラスでは油彩画を始めてみたい方や、古典絵画技法を手掛かりに表現の幅を広げたい思っている方などを対象に、油彩とテンペラの混合技法及び油彩画の初歩を学んでいきます。
担当 田中靜
このクラスは、これから油絵を始めたいという方が「混合技法」を用いた絵画制作を学べるクラスです。
混合技法とはルネサンス期に使われていた技法で、油絵具とテンペラ絵具(顔料と、水と油からなる乳剤を混ぜ合わせたもの)を併用する技法です。
こういうと、とても専門的で初めての人には難しいように思われるかもしれませんが、混合技法こそが、油絵を始めるにあたって最も入りやすく、また上達も早い技法なのです。現在日本で作られている絵具やキャンバスは印象派やゴッホのような描き方ができるようにキャンバスの目は荒く、油絵具は盛り上がるようにできています。こういった画材は使っていて楽しいものではありますが、なんとなくそれっぽく描けてしまうため、本当の意味で絵を描く力が身に付きづらいのです。
混合技法にはこういった手軽さはありませんが、形をしっかりと描き、油絵具の美しさを活かした色を出す、といった本当の絵を描く力が身に付きます。
もうひとつ大切にしたいのは「物語」です。現在油絵というと写真のように実物そっくりに写し取ることが良い絵と思われがちですが、もともと絵画は古くから人の思いや思想を表現するものでした。昔は寓意画や宗教画という形が多かったですが、現代の我々にとっての物語とは「内的現実」です。つまり一人一人が心の奥底から掬い上げたイメージ、その人にとっての現実です。当然それは実際の現実とは違っていいのです。描く人間の形と色が創り上げる心の世界です。
また油絵を始めるのに年齢も関係ありません。物事は若いうちに始めなければいけないと思われていますが、油絵で大切なことは自分だけの表現を見つけることなのです。むしろ年齢を経てからの方が様々な蓄積がある分、他の人には出来ない表現に辿り着けるかもしれません。
油絵を描いていると、絵具が描き手の心の深いところに応えてくれることがあります。そんな瞬間は描き手にとって大きな喜びです。
あなたの心に眠る、あなたにしか描けない絵を、ここで探してみてください。
担当 安田雄大
お知らせ
安田 雄大 講師による油彩・テンペラによる混合技法の体験講座を下記の日程で開催いたします。
はじめての方大歓迎です。ぜひご参加ください。
お申し込みはお問い合せの方からよろしくお願いいたします。
「はじめての混合技法」
日時:9月14日(日) 14:00〜17:00
持参する物:描きたいものの写真、スケッチ、デッサン(持っている人
※手ぶらでもOKです。油絵具、筆、モチーフの写真も用意していま
講座費用:2,000円
「絵を始めたい!」、
「油絵って難しそう」、
「何から始めたらいいのかわからない!」、
「古典絵画技法って…?」、
こんなふうに思っている方に、絵を始める入口として混合技法を紹
混合技法とは15、16世紀頃のヨーロッパで使われていた油絵具
こういうとなんだか難しく専門的なもののように聞こえますが、体
そして何より面白いです!
普通の油絵や水彩、デジタルアートなどでは体験できない美しさ、
この講座ではそんな混合技法の入口を実際に体験することができま
まず石膏を塗った板に、油絵具でグレーズをし、テンペラ絵具で対
油絵具で描き出すのとは全く違う、繊細な描写が可能なことを経験
油絵経験者の方は、描きかけの作品をお持ち頂いて、その上からテ
混合技法が見せてくる新しい世界を是非体験してみて下さい。
絵を描くことは、何万年も前から人間が続けてきた表現のひとつです。
アルタミラやラスコーの洞窟壁画に描かれた動物たちを見てもわかるように、私たちは昔から「何かを描きたい」という衝動を持ち続けてきました。絵画はただの技術ではなく、一生をかけて探求することのできる世界です。
このクラスは、油彩を使って現代の具象絵画表現を学ぶ、初級者〜中級者向けのクラスです。油彩の基本的な扱い方を学びながら、それぞれの表現を深めていきます。
「こんな絵が描きたい!」という目標がある人は、それに向けて一緒に進めていきましょう。まだ自分がどんな表現をしたいのか分からないという人も大歓迎です。描きながら考え、探っていくのも絵画の楽しさのひとつ。一緒に手を動かしながら、自分だけの表現を見つけていきましょう!
曜日や時間についても、可能な範囲で相談に乗りますので、お気軽にお問い合わせください。
zoomによるオンライン専門のクラスです。
内容は上記対面のクラスと同じですが、担当の川口と友清が交替で指導します。PC、スマートフォン等のデバイスがあればご自宅から、世界中どこからでも対面クラス同様のクオリティで受講が可能です。zoom接続が不安な方にはテスト接続の機会とスタッフによるサポートも設けておりますのでご安心ください。
担当 川口起美雄
友清大介